”想定外”という言葉の領域について

”想定外”という言葉の領域について

東日本大震災発生からもうすぐ2ヶ月が経とうとしております。

わたしも、先日郷里である宮城を見舞ってまいりましたが、その復興の早さには驚かされました。正直、惨状を目の当たりにしたばかりの震災発生直後は、ここまで早く郷里を訪問できるとは思っていませんでした。

まだまだ様々な部分で難題は山積みですが、必ずや以前の力強さを取り戻すことができる、と信じております。

さて、今回の震災において、わたしは数多くのことを学ばされました。

[危機管理]という分野に身を置くものとして、お恥ずかしい限りではありますが、
「何が起きるか、本当にわからないものなのだな」
ということ。

そして、
「“想定外”という言葉の領域について」
です。

“想定外” ―――
今回の震災報道において、もっとも耳にしたフレーズではないでしょうか。

『日本観測史上、世界最大級の大地震』

確かに、その、目を覆いたくなるような惨状、耳を塞ぎたくなる悲劇の数々は、わたしのような愚民にとっては、まさに“想定外”といえるものでした。特に、津波の恐ろしさについては、全くの無学でした。

しかしながら、その惨状、インパクトに惑わされず、立ち止まってよく考えてみると、

『日本観測史上』『世界最大級』というくくりが-――
『世界観測史上』『世界最大』ではない のです。

調べてみると、『日本観測史』は1871年から。つまり歴史は140年そこそこです。
野球チームの歴史という見地でみれば「相当由緒あるチーム」といえるでしょうが、地震学という見地からすれば「ごくわずかな期間」にすぎません。

また、『世界最大』の地震の規模は、
1960年(M9.5)チリ南部地震
2004年(M9.3)インドスマトラ島沖地震
などが列挙されます。つまり、同等以上の大地震は、近年発生しているのです。

つまり、わたしが申し上げたいのは、
「今回の震災は“想定できた”のではないか?」

そして、
「原発という、国家的(いや世界的)最重要防衛施設の危機管理においては、“想定しなければならなかった”災害ではなかったか?」
ということです。

言わずもがな、原子力発電所におけるトラブルは、数万~数百万の犠牲者では済まない、国家にとって最重要危機管理事項です。外交・貿易上においても、下手をすると国交の断絶、国益を大きく左右する事項です。

“想定”に“想定”に“想定”を重ね、担当者も“プロ中のプロ”を揃えるべきであることに異論はないでしょう。

 ・近年起こった地震(M9.0~9.5)と同等以下の規模であること
 ・そこは、地震頻発地域(東北地方太平洋沿岸)であること
 ・しかもそこには、日本最大級の原子力発電所があること

諸々を考え合わせると、
「政府が、企業が、学者が、“想定外”を連発してよいのか?」
と思えてしまうのです。

少なくとも“想定すべき”地震は、過去起こったどの地震よりも『大きい地震』ではないでしょうか。

とはいえ、『自分自身』を顧みるとどうでしょう。
現在は、企業(東京電力)に対する風当たりが非常に厳しくなっております(正直、政府のスケープゴートにされている感が否めません)が、皆様は、同じく『企業に属する者』にとして、自身に置き換えてみて、どう思われるでしょうか。

“想定の領域”は、本当に十分といえるでしょうか。

弊社では、今回の地震で社内HDの一部が落下、危うくデータがクラッシュしかけました。
原因は、棚の上段に置き、固定していなかったせいでした。
たったこれだけのことですが、多くのお客様に、業務の遅延ならび多大なご迷惑をおかけするところでした。

“想定外”というのは、ある意味、便利な言葉です。“想定の領域”は、人それぞれ ですから。

むろん、時には、“真に想定外”という事態も起こります。弊社でいえば、2009年に発生した≪不正ICチップ≫がそうでした。

ただ、
「コレは“想定”できなかった」
と、常に言い訳ばかりを繰り返していては、“想定の領域”は、いつまでたっても変わらぬままです。

現在、ホール業界にもとめられる“想定の領域”は、非常に広義かつ深遠になってきております。
『法的遵守の厳格化』『遊技客の情報や出玉の保護』などはもちろんですが、それにリンクして『業界イメージ改革』が急務ではないか、と、わたしは“想定”しております。

弊社では、不正対策や危機管理において、
「コレは“想定”できなかった」ではなく、
「コレは“想定”できたのでは?」と、常に自身を反復し、予見能力・危機意識を高め、お客様のために、“想定の領域”をより一層広げてまいりたいと考えております。

そして、皆様とともに、『ホール業界の未来』を守っていけましたら幸甚でございます。
今後ともご愛顧のほど何卒宜しくお願いいたします。

2011-05-01 お客様を大切にするということ 幸せのために
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