ゴト師からの勧誘 ~後編~

ゴト師からの勧誘 ~後編~

今回は、ゴト師からの勧誘(後編)をお伝えいたします。

■ 勧誘手段
 勧誘手段としては、大きく分けて3つの手段があります。

①直接勧誘
ホールで意図的に遊技機トラブルを起こしターゲットスタッフに印象付ける。そのスタッフの帰宅途中に偶然を装い言葉巧みに言い寄り居酒屋に誘ったり、連絡先の交換などをしたりする。(主に女ゴト師がこの役割を担い、最初は良好な関係構築を目的とする)

②間接勧誘
ⅰ ターゲットスタッフの知人、先輩、友人、最近辞めたアルバイトスタッフと予め親しい関係を作っておき、それらの人からターゲットスタッフの携帯電話に連絡。その後、友人、知人等を通じて接触。

ⅱ インターネットや出会い系サイトから切っ掛けを作り最終的には悪魔の勧誘。

③強制勧誘
異性を接近させたり、意図的に事故を引き起こさせたり(カマをほらせる)などして罠を仕掛け、不正品取り付け等に関与させざる得ない状態にする。

 このように勧誘手段は「オレオレ詐欺等にみられるように組織化されたグループによって巧妙な手法や話術をもって、ゴト師側は「不正品を仕込むことに適した店舗か」、「ターゲットとして適した人物がいるか」を常に狙っているのです。

 また、遊技機のセキュリティや管理状況はどうか、接客レベルはどうか、愛社精神はどうか、借金があるかなど、店舗に関わっているモノや人を徹底的にリサーチしターゲットを見定めているのです。
 
 そして、いざ勧誘する際は、考える時間を与えず、あたかも合法であるかのように話を持ちかけ、お金と異性をチラつかせ、知人もやっている、仮にバレたら違う店舗紹介してあげるというように、ターゲットスタッフの期待を大いに抱かせ、悪魔への道が静かに開いていくのです。

■ 勧誘にのってしまった末路
 「いきなり不正品を仕込んでほしい」とストレートに依頼されるわけではありません。最初は、「ゴト行為を見逃してくれるだけで数万円あげるよ」「ホールスタッフの連絡先を教えてくれたら数万円あげるよ」などというように、敷居の低い依頼から始まります。 

 しかし、その要求は次第にエスカレートしていきます。何度かゴト師からの依頼を受けていると遂には不正品の取り付けの依頼が来るのです。ターゲットスタッフが「不正品の取り付けはできない」と断っても、「会社に今までの事をバラしてもいいのか」「家族や彼女に知れてもいいのか」「子供の通っている学校は○○だったなぁ」などと逃げ場がないように追い詰めていきます。更には「グループから抜けるなら見逃し料として数百万払え」と言い迫られ「不正品の取り付けはできないけど、ちょっと早く店に出て店の鍵を開けておくから勝手にやってくれ」というようなケースに陥るのです。

 最初は些細な期待、出来心だったかも知れません。しかし、もうこのような状況になってしまったとき、人生の道を大きく踏み外したことに気付き、その後悔の念と会社や上司、同僚を裏切ったことへの申し訳なさから自ら命を絶とうとする行為に出てしまう人は少なくありません。

■ 勧誘を受けたスタッフの落とし穴
 ゴト師側はターゲットスタッフを見定めると、その行動範囲や友好関係、家族構成などありとあらゆることを下調べすると同時に、関係構築をより強固なものにしていきます。

 それがゆえ、不正関与を依頼する際は慎重かつ大胆に、一度のみならず、二度三度と勧誘してくるのです。
 「一度誘われたけどしっかり断ったから大丈夫だろう」と思っていても、必ず日を変え、手法を変え二度三度勧誘してきます。

 その二度三度勧誘された時にはじめて上司や企業側に相談しようと思っても「いま相談しても疑われる…」「今さら相談できない」という状況になっているのです。

■ 勧誘を受けたら…
 悪魔の勧誘を受けたら、「疑われる?」「どうしよう?」などと悩んだり、迷ったりしている場合ではありません。しっかり上司や先輩、同僚に相談するべきなのです。手段としてスタッフに狙いを定め、狙っているのはその企業の売上であり、来店されるお客様へ還元されるべきお金なのです。

 つまり、悪魔の勧誘とは、ゴト師側から会社側への宣戦布告とも言うべきことで、個人の問題ではなく、会社全体の問題と捉えるべきなのです。

 会社はホール役職者やホールスタッフを守りたいと思っており、守る責任もあります。
 しかしながら、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)がなければ、会社は何ら対処ができません。

 悪魔の勧誘は、身近に発生しない、遭遇する可能性は低いと考えられている方も多いかもしれません。
 火事は起きるはずがない、避難訓練なんか意味がないとお考えの方も、もしかしたらいるのかも知れません。しかし、実際に火事が起これば大変な惨事になるでしょう。
 その時、避難訓練が「役に立つ人・立たない人」どちらになるかは結局自分次第なのです。

■ お願い
 各ホール企業様におかれましては、様々な研修等を行っている事と思います。

 最近のホール環境を取り巻く環境の変化を鑑みれば、益々増加することが想定されます。設置台数は増えているのにも関わらず、スタッフの数は極力減らしている状況に加え、業績不振によるリストラ、過酷なノルマ設定など、現場を任される店長や主任クラスの不満は沸々と高まっている現状であると考えます。このことは、言うまでもなく愛社精神の低下を招くことにも繋がっており、ゴト師側からしてみれば、様々な不正に引き込みやすい環境となっています。
 
 今回、「ゴト師からの勧誘(悪魔の勧誘)についてお伝えしましたが、その現状や手口といったセキュリティ全般に対して無知であるからこそ、ゴト師側の巧みな罠にはまってしまうのです。
                                                                       

2012-10-30 年末のご挨拶 ゴト師からの勧誘 ~前編~
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