ゴト師からの勧誘 ~前編~
ゴト師からの勧誘 ~前編~
日々様々な不正事案が報告されるなか、遊技機の台を開けなければ仕込むことができない不正品の摘出報告も多数上がってきている現状です。
その摘出された不正品から、仕込み方法はある程度想定できますが、今回はその中で最も発見が困難かつ被害が甚大となるホール役職者やホールスタッフを抱き込んだ手口「ゴト師からの勧誘(悪魔の勧誘)」についてお伝えいたします。
■悪魔の勧誘
近年、各ホールのセキュリティに対する意識や取り組み、監視力などが高まっている環境下において、遊技機の台を開けて不正品を仕込む行為は、ゴト師側にとって非常にリスクの高いものとなっています。
そのような環境化において、密かにかつ確実に増加しつつある不正手口がホール役職者やホールスタッフの関与を要因とする内部不正となります。
内部不正は、何もパチンコ店だけに限ったものではありませんが、その性質上、非常に厄介で表面化しづらく、長期間に渡って蝕まれていきます。そのため、気付いた時には相当なダメージを受けています。
適正な利益が少しずつ少しずつ蝕まれていく様は、まさにがん細胞のように密かに侵食し、発見が遅れれば遅れるほど取り返しのつかない事態に陥るように、確実にホール環境を悪化させ、来店されたお客様に本来還元されるべきものが還元できずお客様に負担を強いる結果となり、最悪閉店を余儀なくされたり、強いては、パチンコ業界のファン減少にもつながったりと、負の連鎖をもたらすことは必至なのです。
■手口
内部不正の手口は、以下に上げたように多岐に渡っています。
・設定、良釘漏洩
・不正基板の取り付け
・不正配線の取り付け
・デカ玉の仕込み
・景品横流し
・玉、メダルの横流し
・カード不正
・不正レシート発券
・計数機への不正品取り付け
・合鍵作成
・売上金操作
・不正行為の見逃し
・録画映像の消去
・店舗への侵入幇助
・企業情報、個人情報の漏洩 など
このように様々な内部不正がこれまでに起こっておりますが、実際に事件化されているケースは氷山の一角に過ぎないのは周知の通りです。以下事件化されたものを抜粋。
≪実例1≫ (不正基板取り付け)
2011年1月、福井県において、店員として店舗に潜り込み約1年しっかり勤務し信用とある程度のポジションを任されるようになってから、不正基板計15台を仕込み約1000万円の損害を与えた事件。
≪実例2≫ (合鍵作成)
2011年6月、福井県においてホールスタッフが店舗の鍵を持ち出し、仲間に合鍵を作らせる手口で両替機用の現金100万円を盗んだ事件。
≪実例3≫ (カード不正)
2012年4月、福岡県において20数件のパチンコ店の電子カード情報を不正に書き換えて景品をだまし取った事件。2008年からの約4年間、同様の手口で犯行におよび約5000万円の損害を与えた。
≪実例4≫ (店舗への侵入幇助、不正基板取り付け幇助)
2008年2月、北海道においてゴト師グループ内の女二人が男性役職者に声をかけ「夜、店に入れてくれれば50万円やる」と仲間に引き込み店舗への侵入を幇助した事件。ゴト師グループは大当りが意図的に発生させることができるように改造された不正ロムを仕込むことが目的で、その他にも多数の店舗役職者をターゲットに女二人に声 かけさせ数千万稼いでいた模様。
次回後編では、勧誘の手段などについてお伝えいたします。
2012-09-30