歴史は繰り返す?
歴史は繰り返す?
早いもので、弊社は今年で、設立10期目を迎えております。特別な広告・宣伝もしておりませんので、「もうそんなに?」と思われる店舗様も多いかもしれません。
ここまでやってこれたのも、ひとえにお客様のご指導ご鞭撻によるものでございます。遅ればせながら御礼申し上げますとともに、今後、より一層のご愛顧のほど、何卒宜しくお願い申し上げます。
さて、10年前を思い返しますと、なんといっても[獣王][サラ金]などの≪不正サブロム≫が猛威を振るっていたことが脳裏に思い出されます。
毎日のように被害報告が上がり、その対応に追われておりました。
皆様ご存知の通り、≪不正サブロム≫とは、≪注射≫と呼ばれる「プログラムの書き込み」による不正手法(※1)ですので、サブロム自体には、外見上の相違は出ません。(←「見てわかる」という業者がいたら大嘘つきです)※2
※1.[初代黄門ちゃま]や[花満開]など、V1セキュリティ以前の時代(90s初頭以前)に猛威を振るった不正手法。現在のメインロムでは不正不可能。
※2.弊社では、外的チェック+2種類のチェッカーを準備しておりますのでご安心ください。
よって4号機時代、我々は、細心の注意を払いつつサブ基板からサブロムを取り出し、ひたすらチェッカーにかけ、また細心の注意を払ってサブロムをサブ基板に戻す・・・・ということをやっていたわけですが・・・・
歴史は繰り返す、と申しますが、昨今のニュースでも取り上げておりますように、ロデオ社製スロット[新鬼武者Z]、サミー社製[蒼天の拳Z]において≪不正サブロム≫が流行の兆しを見せております。
情報自体は以前よりありましたが、ここにきて広く実害を出し始めており、これは筆者の観測に過ぎませんが、もしかすると、「予想以上の危機」となるかもしれません。
そこには、「4号機時代との違い」があげられます。
【①コンプライアンスに抵触する危険性】
ご存知の通り、4号機時代とは、コンプライアンス面でホールがおかれている状況が大きく異なります。くれぐれもご注意ください。
特に懸念されるのが、『中古機流通経路における不正品混入』です。
≪不正ICチップ≫でよく見受けられたパターンですが、販社・購入店舗・遊技客、全てが被害者となってしまう最悪のパターンです。
【②内部への不正勧誘の頻度アップ】
4号機時代はサブロムの交換も非常に容易で、一般的な外部不正というパターンも多く見受けられましたが、当該機種においては、ロムのみの交換は不可能で、サブ基板ケースまるごと交換となります。よって仕込みに時間がかかる(3分程度?)ため、『ゴト集団は内部に協力者を求めてくる』ことが考えられます。
もし仮に、複数台の摘出があった場合、内部不正の関与が強く疑われます。もしくは納品・設置時です。
【③“カシメの存在”が検査を困難に】
4号機時代は、サブ基板はネジ止めされているだけの機種が多く、それだけにサブロムの取り出し=プログラム検査が容易でした。
しかしながら当該機種[新鬼武者Z]を始めとする最近の機種にはカシメが存在するものが多く、カシメを壊してサブロムを取り出すわけにもいきません。
もちろん不正品のカシメには痕跡が残りますが、その痕跡は『非常に微細』で、残念ながら『店舗様には判別不可能』と言わざるを得ないほどのレベルです。
その点が被害を拡大させる危険性があるのです。
「カシメに傷がない(ように見える)から大丈夫」 → 長期間の見逃しへ・・・・
セキュリティのためのツール(カシメ)が、逆に不正を拡大させてしまう という皮肉なパターンといえると思います。
過去10年以上にわたり、カシメはもちろん、「ブラックボックス化」「V2チップの登場」「外部照合機能の付与」・・・・様々な対策の付与に伴う不正品の変化をみてきましたが、
「不正品の原理自体は、大して変化していません」
今回の≪不正サブロム≫も10年前と原理は変わりません。
歴史を繰り返させないために、重要なことは、
「人の作ったものは、人によって突破されてしまう」
という根本を、ずっと忘れないことではないでしょうか。
2011-07-17